木造住宅の壁量計算を理解しましょう

  • URLをコピーしました!

今回の記事は…意匠設計者 建築学生に向けたの内容です。

脱炭素社会に関する法改正の動き

2022年4月22日、政府は「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案」(以下、脱炭素関連法案)を閣議決定しました。

法案の施行は2025年度中を目標としているようです。以降の新築物件に省エネ基準の適合が義務化されます。

国土交通省が公表した脱炭素関連法案の概要(資料:国土交通省)

脱炭素関連法案が注目されている一つの理由は、建築基準法の一部改正建築確認を要する木造の建築物の範囲の拡大(法第6条1項関係)」が盛り込まれているからです。

同法の案文抜粋8p(資料:国土交通省)

4号特例の縮小化へ…

注目されている改正案の一つに、4号特例の縮小があります。

※「4号特例…建築基準法第6条1項の第4号を対象とする建築物で、建築確認の審査を一部省略する規定」

改正案の内容は以下の項目があります。

  1. 確認申請における壁量計算構造図が省略可能なのは平屋200㎡以下
  2. 構造計算書が省略できる建物を500㎡→300㎡に縮小
  3. 省エネルギー化により建物の重量化を考慮して、壁量計算の算定用数値の見直し

1.については、例えば“2階建て100㎡木造住宅”は、現行では構造申請図書の提出は不要ですが、これが必要になります。

2.については、一般的な(延床300㎡未満)2階建て木造住宅だと、改正後も構造計算不要で、壁量計算で運用することになります。

3.については、壁量計算における数値の見直しです。壁量計算をご自分でされた経験がある人なら、以下の表を見たことがあると思います。要するに、建物の重量化に伴い、この数値を見直す(増量)ということでしょう。

壁量計算と構造計算の違い

“構造計算”という用語は曖昧に使われることがあります。

ここで使う“構造計算”は、設計ルート1~3で語られる許容応力度設計、限界耐力計算、保有水平耐力計算の事です。

壁量計算を満たしている壁量でも、構造計算をやってみると強度が不足することがあります。

同じような事を構造設計者から言われたことがある建築家さんもいるでしょう。

原因は、“壁量計算”前提としている条件(建物重量、平面、立面)が異なるからです。その前提を理解していなければ、壁量計算ギリギリの建物は危険ということになります。

私の経験則では、“壁量計算”ギリギリの建物は、構造計算を実行してみると2~4割不足する場合があります。

それは、上記のような前提が合ってない建物であるからと思われます。

特に、私が依頼を受ける建築家さんの設計は、デザイン的に個性があるのは当然なので仕方ありません。

壁量計算は、手計算の時代に整備された計算方法なので、簡単な算数ドリルを解いている感覚で出来てしまうものです。

書店に行けば入門書として幾つもありますが、前提条件を正しく解説しているものは少ない気がします。

①に記載した参考文献は、構造設計者が使う図書ですから…意匠設計者は馴染みがなくて当然かと。

まとめ

脱炭素を考えていくのは、これからの課題なので良いことかと思います。

木材は建物を軽量化できるので、個人的には好きな材料です。

ですが、断熱性能のために建材を足す、省エネのために太陽光パネルを設置する…といった、点数制のような設計はどうなんでしょうかね。

快適な空間、例えば寺社建築は風通しがよく、日影がある…そういう空間をつくることでも解決しそうですが。

何でもかんでも法律化するのは設計の自由度を低下してしまいます。

まあ、建築業界が脱炭素社会の取り組みが遅いのもよくないんですが…(去年、河野太郎さんが国交省に怒ってましたよね)

今回の記事が役に立った方は是非 “いいね をお願いします!

皆さんの関心事がわかると次の投稿を作成する糧になります。

こんなテーマを書いてほしいなどもコメントいただければ検討します。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

この記事が良かったらシェアして下さい!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA